オンリーワンでもナンバーワンでもないものだって、まちの観光のエッセンスだ。

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1.はじめに

わたしは、愛知県岩倉市で観光まちづくり事業を企画・運営する「NPO法人いわくら観光振興会」で働いています。岩倉市は、愛知県の北西部、西尾張地区にあり、市のほぼ中心を流れる五条川は「日本のさくら名所100選」に選ばれたお花見処で、毎年春に行われる“岩倉桜まつり”が有名です。そんな五条川の桜のように、すでに観光地として認識されているような名所に行くことだけが観光ではないという考えから、日々まちの新しい観光資源を探しています。

今回は、【まち歩きのエッセンスは、何をテーマに持ってきても成り立つのでは?】という話です。

 

2.岩倉市は公園の多いまちって本当?

写真:夢さくら公園。旧学校給食センターの跡地に作られた、市内で1番新しい公園。

愛知県岩倉市は名鉄名古屋駅から特急で約11分。都市部にアクセスしやすいベッドタウンで、現在人口約4万8千人。「いわくらしやすい」を合言葉に、暮らしやすいまちづくりを展開しています。
“暮らしやすい”には、色んな要素があると思いますが、子育て世代のわたしとしては、支援センターや児童館が充実している岩倉市は、それだけで充分“暮らしやすい”と感じます。加えて、子どもが遊べる“公園”が多い!!・・・と感じる(笑)
公園があって、そこからちょっと行ったらまた。ちょっと行ったらまた公園!って感じなんですよ。もしかして岩倉市って公園が多いの?なんて思ったのです。
 
そこで、市役所の担当課に話を聞いてみると、まずはわたしが“公園”と一言で表していたモノたちは、ざっくり次のように分類されることが分かりました。
 
・都市公園 19か所
・児童遊園 12カ所
・憩いの広場 3カ所
・ふれあい広場 3カ所
 
それぞれ、作られた目的も違えば、適応される法律、管理している担当課も違うとのことです。知らなかった👀
さらに岩倉市は、他市に比べて特段いわゆる公園の数が多いわけでもなければ、面積比的にも多い方ではないそう。残念すぎる・・・。
 

3.市民はどう感じている?

では、岩倉市に暮らす市民のみなさんはどう感じているのでしょう?調べてみると、すぐ出てきましたよ。岩倉市の「いわくらしやすい109の理由」※1 には、コンパクトなまち岩倉市には、都市公園や児童遊園も、身近なところに多数あると紹介されています。
 
●いわくらしやすい109の理由「公園から、ちょっと歩けばまた公園。」
https://www.city.iwakura.aichi.jp/brand/0000002093.html
 
※1:「いわくらしやすい109の理由」とは、市民が感じる岩倉市の暮らしやすい理由を募集しまとめたものです。
 
また、市民から募った“まちづくりカレンダー作成委員会”がテーマを決める、市のカレンダーでは、過去にまちの公園をテーマにしたものがあります。公園は市民の身近にあって愛されている存在なんですね。

写真:2019年の岩倉市まちづくりカレンダー。市内の公園が紹介されている。

4.腕がなるぜ!活用方法は無限大∞

ということで、公園が市民に愛され大切にされているであろうことは分かったのですが、“公園そのもの”は岩倉市の特別なコンテンツではないことも分かりました。そうすると、決して岩倉市独自の特徴ではないものを、「観光」にどう取り入れてどう活かせるかは工夫次第ということになりますね。さあ、楽しくなってきたぞ~!
 
ここでは、いくつか考えた、まち歩きと組み合わせて楽しくなりそうな公園コンテンツの中から1つをご紹介します。
 
市内にはどんな都市公園、児童遊園があるのか調べた際、通称「ぞうさん公園」「お山公園」など遊具の特徴で呼ばれている(遊具を見れば市民ならどこなのか区別が付く)園もあれば、各地区の園で同じ遊具を使用している場合もあることに気づきました。ということは後者の場合は市民でも、「この遊具はあそこじゃん!」という反応を得られたとしても必ずしも同じ場所を想像していないかもしれないということですよね。

写真:市内で撮影した遊具。かわいらしい動物のデザインの遊具や、土地の形を活かした遊具、子どもの安全に配慮された比較的新しい遊具など様々。


 
そこで、遊具の写真を撮影して作ったのは \ビンゴカード!/

写真:作成したビンゴカード。撮ってきた写真は、背景がヒントになるのを避けるため切り抜きで使用。

 
まち歩きをする際に、本来のツアーのテーマとは別にこのカードを持って公園に立ち寄れば、休憩にもなるしゲームとしても楽しめるのではと考えました。市民なら「この遊具あそこにあった気がする」と遊具目的に行くことだってできるわけですよね。立ち寄る場所を持ち回りで決める、行き当たりばったりで歩いて遭遇した公園の遊具を確認するなど、ルールを決めたりすればさらに色々な楽しみ方ができそうです。
 

5.まとめ 観光を楽しくするエッセンスを増やすには、固定観念を捨てる事!

冒頭にも述べたように、岩倉市といえば “五条川の桜まつり”ですが、すでに観光地として確立されているような名所に行くことだけが観光ではないと考えています。
桜や城跡などの名所そのものだけではなく、それらを支えるまちの人やまちの人の作るおいしいもの、まちの人がよく出かけるお散歩コースなど、 みんなの“好きなこと”が観光資源そのもの、と考えています。
観光とは関係ないのでは?というようなものでも、今回のように視点を変えれば、一見普通に思えるようなことでも、まちの魅力を楽しめるコンテンツとなるのではと思います。固定観念を捨てて、気になったことを何事も調べ、面白がって楽しんで、体験として自分のモノにしていけば、まちの観光ネタは尽きないなと実感しています。
それぞれのまちの楽しみ方を知れば知るほど、観光の可能性はどんどん広がっていくと感じています。

この記事を書いた人
木村さや香

NPO法人いわくら観光振興会
人事教育長/イベント企画制作
1986年生まれ。岩倉市在住。1児の母。岩倉市PR大使い~わくんのアテンド"鯉のぼり恋子 "としても活動。「観光資源は自分たちでつくることができる」をコンセプトに、市内の農家や商店、消費者をつなぐ企画を提案している。

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