まちの特産品ではないモノも資源になる「観光」の可能性を追求したい!わたし、「観光ボランティア」はじめました。

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1. はじめに

わたしは、愛知県岩倉市で観光まちづくり事業を企画・運営する「NPO法人いわくら観光振興会」で働いています。岩倉市は、愛知県の北西部、西尾張地区にあり、市のほぼ中心を流れる五条川は「日本のさくら名所100選」に選ばれたお花見処で、毎年春に行われる“岩倉桜まつり”が有名です。そんな五条川の桜のように、すでに観光地として認知されているような名所に行くことだけが観光ではないという考えから、日々まちの新しい観光資源を探しています。
今回は、弊会で唯一の事務局員 兼 観光ボランティアのメンバーとなった、わたしの話です。

2. ピンチ!まちの観光ボランティア団体が解散

愛知県岩倉市は名鉄名古屋駅から特急で約11分。都市部にアクセスしやすいベッドタウンで人口約4万8千人。冒頭でも書いたように岩倉五条川の桜並木は有名で、毎年10日間行われる「岩倉桜まつり」は、のべ30万以上の人が訪れる大イベントです。そんな岩倉市には、「岩倉桜まつり」をはじめ、まちの観光の礎を築いてきた観光ボランティア団体がありました。その名は「いわくら塾」。まつり期間中、名鉄岩倉駅の地下道でガイドをする姿を見たことがある方もたくさんいるのではないでしょうか?
しかし、メンバーの高齢化や新型コロナウイルスの影響もあり、「いわくら塾」は解散することに…。
なんとなく、ずっとあるものだと思ってしまっていたその存在。まさか、いなくなるなんて想像もしていなかったわたしは、正直、動揺しました。

さて。わたしに出来ることって、何だろう・・・?

3.観光ボランティアって、そもそも何だろう?

観光ボランティアは、一般的に、地域を訪れる観光客に対し、無料もしくは低い料金設定でガイドやお世話を行う存在です。その多くは、観光協会等を窓口として受け付けています。岩倉市のように、一年通しての“観光地”とはいえないような各市町村にも、すべからくガイド等の仕組みはあるのかな?って思いました。本当は知っていて然るべきなんだよなあ。
ということで、まずは近隣市町に聞き取り調査。観光ボランティアってそんなにどこもかしこもあるの?!と思われる方も多いのでは?かつて「いわくら塾」も所属していた愛知県の市町村の観光ボランティアの登録組織「あいち観光ボランティアガイドの会」には60を超える団体が所属しています。結構多いですよね👀
どんな活動していて、メンバーはどんな構成なのか。実際に活躍しているガイドさんの声も聞いてみたい。聞き取り取材を進めていくと、うまく機能している団体と、課題を抱える団体があると感じました。取材内容を参考に、後者にあたる団体の活動と課題を、架空の団体としてひとつにまとめてみました。

10数年前に団体を立ち上げてから、年に1回のまちの大きなイベントの案内をする他は、2、3回ある案内希望者へのガイドを行い、あとは勉強会や定例会を行うというのが主な活動。まちの大きなイベントの案内人としての活動がメインとなり、他は決まった人だけが動いている。メンバーの人数は初期の登録者そのままになっているので100人を超えるが、実際に活動しているのは20人ほど。
課題はメンバーの高齢化。また、知識に偏りがあるため、決まった人が中心になって動いている。ボランティアのため、勉強会も強制はできない。また、運営資金を調達していくのに苦労している。

と、こんな感じです。
反対に、存続に関して問題ないとメンバーさんが感じているところでは、

・よいタイミングで後継者となる人にバトンタッチできている。
・道の駅と連動して活動している。
・城、城址をはじめとする、何らかの観光スポットがあり定期的に案内を必要とされる。

などがあげられました。

う~ん。
案内してほしい人がいて、案内することを楽しんでくれるガイドがいて、その仕組みを支える組織がいてはじめて、観光ボランティアは成り立つわけですが、一言で言ってしまえば、支えあうバランスが絶妙で難しいのかなと感じました。

ガイドというと、参加してくれた人を楽しませるのが目的と捉えがちですが、ガイドをする方も楽しめなければ良いツアーにならないと考えています。つまり、ガイドと参加者がwin-winの関係を築けることが、観光ボランティアガイド団体の本当の目的だと思っています。
ガイドをする方が楽しむとはどういうことか。それは、今まで得た知識を面白く人に伝えたり、参加者と一緒に歩いてお散歩を楽しんだり、雑談の中から改めて岩倉市の良さを見つけたり。もちろん、参加者から気付きをもらうこともあります。一回一回のツアーのそれぞれが素敵な出会いになれば、ボランティア活動を続けていくことができるのではないでしょうか。

4. 職業とボランティア、両方の立場になってみる

あれよあれよと色んな話が進み、「いわくら塾」を完全に再現することはできないが、弊会らしい新たなガイドの仕組みを、市と協力しながら作り上げようということになりました。
それが 岩倉市観光ボランティアガイド「ごあんない~わ」です。


【 岩倉市観光ボランティアガイド「ごあんない~わ」 】
地元の有志による観光案内サービス。
ご希望の案内場所に合わせて、地元ボランティアガイドをマッチングします。

●岩倉市観光ボランティアガイドごあんない~わHP

ごあんない~わ
愛知県岩倉市で観光案内をして欲しい方も、観光ボランティアガイドになりたい方も、当サイトから申し込みできます!観光ガイドを利用する方法や、ボランティアガイドになるためのエントリー方法をご紹介しています。

わたしは、「ごあんない~わ」のメンバーの1人になることを決めました。
唯一の事務局員 兼 メンバーです!

わたしは「NPO法人いわくら観光振興会」の職員として、お給料をいただいて働いています。これまでもお仕事として、色々な角度から資源の発掘をしてきたつもりです。そして、自分の活動に関わるボランティアにも数々参加してきました。そしてついに、普段のお仕事内容とまったく丸被りのことを、ボランティアとしてやろうとしている・・・。ついに垣根を超えてしまったような(笑)そんな覚悟のいる行動だと、自分の中では思っています。
具体的に言うと、普段、仕事として請け負っていることとどう住み分けするのか、また住み分けが必要なのか?が課題です。いわゆる、「本職」の領域に近づけば近づくほど、無料、もしくは低い料金設定でできることを、普段生業にしている意義を問われる気がしているからです。

ただそれでも挑戦したいと思ったのには、3つの理由があります。
1つ目は、ガイドをする楽しさを自らの姿で示したいからです。自分のまちの良さを人に伝えるってこんなに楽しいんだ!と実感してほしいですし、SNSの発信だけでは味わえない人と人との出会いの楽しさやつながりも感じていただけたらいいなと思います。
2つ目は、ガイド自身が楽しむための環境ができているかを自らの肌で確認したかったからです。観光ボランティアガイドは個人・グループ客を主な案内対象としているわけですが、最近では旅行会社が、観光ボランティアガイドに着目し、活用しはじめている事例が見受けられます。数少ない、ガイドの貴重な活動の場所になっている一方、なかには、ガイドをまるで下請のように扱う事例も出てきているといいます。案内される人の満足度をあげていくことはもちろんですが、ガイド側が楽しんでやれる環境づくりがしたいです。

最後の1つは、まとめで書きたいと思います。

5.まとめ 3つ目の挑戦理由/原点に立ち返って「観光」の可能性を追求したい。

冒頭でも書きましたが、岩倉市といえば五条川の“桜まつり”が有名ですが、そういった、すでに観光地として認知されているような名所に行くことだけが観光ではないと考えています。そう考えるようになったのは、大好きなカフェめぐりをする際、お店の情報だけではなく、行く途中のコースも予習し、立ち寄れそうなスポットなどを探してから出かける自分の行動がきっかけだと思います。
桜や城跡などの名所そのものだけではなく、それらを支えるまちの人やまちの人の作るおいしいモノ、まちの人がよく出かけるお散歩コースなど、 みんなの“好き”が観光資源そのもの、と思うようになりました。特産品や名所でなくても“好き”は資源になる。そんな「観光」の可能性を追求したい。「ごあんない~わ」の発足は、わたしにチャンスを与えてくれたのかなと思っています。

岩倉市育ちで、今も岩倉市に住み、そしてこのまちの観光振興を職業にしていますが、この仕事につくまでは自分の暮らすまちのことをよく知らないのに「岩倉なんて何にもないよ」なんて言っていたものです。
あの頃の私みたいに感じている人がもしいるなら、自分のまちをより好きになってもらいたい。さらに、市外の方に岩倉市の魅力をもっともっと知ってほしいと思っています。

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観光は、桜や城跡などの名所だけじゃない!こんな変わったツアーはいかがですか?

① 【 “好き”が観光と繋がる?昭和のアデリアグラスと喫茶店 】

昭和レトロブームを代表する存在となった、アデリアレトロ※1。アデリアレトロのようなプリントグラスと同じく、当時贈答用としても活躍した重厚なグラス。市内にある喫茶店をめぐって、今も変わらず愛用され、現役で活躍しているグラスたちに会いに行ってみませんか?

※1「アデリアレトロ」・・・
愛知県岩倉市に本社を置く石塚硝子株式会社のブランド「アデリア」の商品ラインナップの名称。2018年から販売を開始し64万個を販売する大ヒットを記録している。かつて昭和の家庭で使われていたアデリアのグラスウェアを現代でも安心して使えるようリメイクした製品で、花や動物など、かわいらしい柄をあしらったプリントが特徴。親しみやすいデザインと手頃な価格で人気の柄を復刻したシリーズ。

● note【観光コラムKITENE~IWAKURA~】 リアルな “アデリアレトロ” に会いに行った話
https://kitene.iwakura-kanko.com/2021/12/03/2021_12_03/


② 【 ノスタルジックな「型板ガラス」とまち歩き 】

昭和の時代に多く見られた模様のあるガラス「型板ガラス」を巡りながら、まち歩きの楽しさを感じられるツアーはいかがですか?岩倉市には大きなガラス工場がありますが、型板ガラスの産地でも何でもないのです。特産品でなくても、一見、観光と無縁と思われるコンテンツでも、まち歩きを組み合わせることで、実際に岩倉市に来てもらう理由になれるチャンスがあると捉えています。

【 岩倉市観光ボランティアガイド「ごあんない~わ」 】
地元の有志による観光案内サービス。
ご希望の案内場所に合わせて、地元ボランティアガイドをマッチングします。

●岩倉市観光ボランティアガイドごあんない~わHP
https://guide.iwakura-kanko.com/

この記事を書いた人
木村さや香

NPO法人いわくら観光振興会
人事教育長/イベント企画制作
1986年生まれ。岩倉市在住。1児の母。岩倉市PR大使い~わくんのアテンド"鯉のぼり恋子 "としても活動。「観光資源は自分たちでつくることができる」をコンセプトに、市内の農家や商店、消費者をつなぐ企画を提案している。

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