1.はじめに
私は、愛知県岩倉市で観光まちづくり事業を受託し、企画・運営する「NPO法人いわくら観光振興会」で働いています。
岩倉市は、愛知県北西部・西尾張地区にあり、市のほぼ中心を流れる五条川は「日本のさくら名所100選」に選ばれている県内有数のお花見処です。
岩倉市には、公式キャラクターの「い~わくん」がいて、桜をはじめとする、まちの“い~わ”なことを市内外に伝えるPR大使に任命されています。
その「い~わくん」のアテンド「鯉のぼり恋子」として活動する私が、残念ながら世の中でオワコンとも囁かれてしまっている、まちの「ご当地キャラクター」いわゆる“ゆるキャラ®”を利用したまちおこしとして、ここで改めてキャラクターを通したまちづくりの魅力と可能性を語ります。
2.ご当地キャラクターブーム!い~わくん誕生
「ご当地キャラクター」を語るにあたり、まずお伝えしたいことがあります。「ご当地キャラクター」とともによく使われる“ゆるキャラ®” というワードについてです。“ゆるキャラ®”とは、ゆるいマスコットキャラクターを略したもので、地域おこしや名産品の紹介、イベントや各種キャンペーンなど地域全般の情報や、企業・団体のPRなどに使用するマスコットキャラクターのことをいいます。特に地域のPRを目的としたものは「ご当地キャラクター」と呼ばれているため、ここでは「い~わくん」のことは“ゆるキャラ®”ではなく「ご当地キャラクター」と呼ばせていただきます。
ちなみに“ゆるキャラ®”という言葉は、わたしの尊敬するイラストレーター・みうらじゅん氏が考案し、2004年に扶桑社とみうらじゅん氏が商標登録をしています。
2010年、全国のゆるキャラが人気を競う「ゆるキャラ®グランプリ」が開催され、彦根市のご当地キャラクターである“ひこにゃん”人気が話題となると、各自治体は地域のイベントや名産品、地域全般のPRのためにこぞってご当地キャラを制作しました。これがご当地キャラブームの始まりかと思っています。
岩倉市もこの流れにのって2011年に「い~わくん」を誕生させました・・・・。いや、「い~わくん」は五条川の精ですからね、昔から居たんですよ、誕生させたとかじゃなくて。生まれながらの5才。今も、これからも5才の元気な男の子なんですよ!うん。
い~わくんは岩倉市PR大使、そしてキャラバン隊として市内外のイベントに出演する他、Facebook、インスタグラムを毎日更新しています。
3.ズバリ「い~わくん」の魅力とは
私が初めて「い~わくん」の魅力に気づいたのは、まだ現在の仕事に就く前に「い~わくん」のSNSを見た時です。
その日の記事が、車いすマークのついている駐車場を正しく利用してね!というキャンペーンの参加報告だったんです。単純に、参加した。楽しかった。という報告でもよかったと思うんですけど、「い~わくん」のSNSには、“使う人のためにあけておいてほしい~わ”と書いてあったんです!!
活動報告の更新記事だけではなく、そこは確かに「い~わくん」が思ったことを伝えるページになっていました。「い~わくん」の存在自体や考えをメッセージを通して届け、それをまちへの愛着心につなげることができるのが「い~わくん」SNSの魅力だと思っています。
では、実際に会える「い~わくん」についてはどうでしょうか?
こちらも私自身の体験を。
アテンドとして初めて実際の「い~わくん」に会ったとき、“なんて素敵な仕事に就いてしまったんだー!”って叫びたいくらいに感動したのを今でもよく覚えています。
私は、今までハウジングセンターやショッピングセンターで音に合わせて動く着ぐるみしか見たことがなかったので、音に合わせて動くことで着ぐるみに命を吹き込んでる感じがしていました。そういった“ショー”にくらべて、「い~わくん」は声を出してお話はできないけど、元気いっぱいの動きがかわいらしくて、お客さんへの積極的なコミュニケーションをとる姿は、何かに合わせてとかではなく「い~わくん」自身の意思で動いていました。
もうそこに、確かに「い~わくん」が居るんです!
何言ってるんだ?って感じかもしれないですが。(笑)
私は、今まで何度も「い~わくん」と接していても、実際に会えばやっぱり嬉しいし、よく人に聞かれるのであえて書かせていただくならば、「い~わくん」の魂 (いわゆる中の人) がどうのこうのなんて1ミリも考えたことないです。
会ってみると感じられる、確かに存在しているリアルな「い~わくん」。それも魅力のひとつなのかなと思っています。
4.おわりに
キャラクターに関するお仕事をしていると、多くの人から色んな意見を頂戴します。良い意見ばかりではなく、中にはキャラクターに反対する意見など様々です。
税金でふざけたことをして!などと言われたり、「ご当地キャラのブームは終わった」という意見もあります。確かにそうなのかもしれません。
でも私は、ご当地キャラクターは、『ブームでなく文化である』と考えています。
「い~わくん」という存在を通してできることは無限大!
なにも特にキャラクターが好きという人でなくても、ふいにイベントに現れた「い~わくん」に興味が湧いて、岩倉市の名前を改めて知る人もいると思います。市民の方が、普段は市政に興味がなくても、「い~わくん」が式典に参加している写真を見て、ふ~ん、こんなのやってたんだって記憶に刻まれることもあるかもしれません。
それは「い~わくん」というキャラクターの存在のチカラだと思うのです。
そしてきっと、ご当地キャラクターさんたちが、各地域で発揮している“キャラ力(ぢから)”と同じ力(ちから)だと思っています。
私は岩倉市育ちで、今も岩倉市に住み、そして岩倉市の仕事をしていますが、実際にこの仕事に就くまでは、自分の暮らすまちのことをよく知らずに“岩倉なんて何にもないよ”とよく言っていたものです。
岩倉市に暮らしながらあの時の私みたいに感じている人がいるなら、自分のまちをより好きになってもらい、さらに市外の方に岩倉市の魅力を知っていただきたい。
それは「い~わくん」を通じて実現できると思っているし、それこそが「い~わくん」の可能性であり、キャラクターの魅力そのものでもあるのかなと思っています。