大人こそ絵本を。

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子どもが産まれてから、自分の為に本を読む時間を作るのがなかなか難しくなってきました。絵本の読み聞かせが、わたしが本と向き合える貴重なひとときでしたが、子どもが成長するにつれ、その唯一の時間も残念ながら少なくなってきてしまいました。

本を読むことは“良いこと”だといいます。実際、本を読むことで読解力や語彙力が身に付く、知識が増えるなどの能力の向上だけでなく、リラックスできるなど心への効果も期待できるそうです。そういったメリットはもちろんですが、本そのものが面白いコンテンツであることには間違いありません。
本を読みたい気持ちはあるけれど、いきなり小説などの長物にチャレンジするのは難しいし、そもそも忙しくて読書なんてしている時間はない、という人にぜひおすすめしたいのが「絵本」です。

タイトルに「大人こそ絵本を。」とつけました。さすがに“観光”と関係ないのでは、という声が聞こえてきそうですが、タイトル通り、大人にぴったりの「絵本」と出会える素敵な空間が、岩倉市にはあります。
そこは、思わず「ただいま」と言ってしまいそうになる、なつかしさと大きな優しさに包まれた場所です。

店主の大岸徹さん。

『WILD CAT BOOKS』。
絵本、児童書を中心に取り扱う、空き家を利用した小さな古本屋です。店主は、同じく岩倉市にある書店、「ブックレストラン やまねこ亭」の店長をされていた大岸さん。病気の治療に専念するため、約2年前に27年間店長を務めた「やまねこ亭」を引退され、その後、こだわりの書籍をそろえて古本屋『WILD CAT BOOKS』を開きました。
絵本、児童書を中心に取り扱うという店は、大岸さんのお人柄に惹かれ、本やものづくりに携わる人々が集まり、みなさん一緒になって作り上げているのが特長です。

店では、毎回、様々な出会いがあります。
ある時には、お客様の1人が、突然店の棚からさっと選んだ絵本の読み聞かせを始めました。そこに居合わせた大人も子どもも自然と輪になって聞いています。読み聞かせが終わると、それぞれ感想を口にします。互いに感じたことを交感して、ふわっと解散していきました。
またある時は、素手で叩いて演奏する金属製の楽器ハンドパン(で合っているかな?)を練習しているというお客様が、かばんから楽器を取り出しました。うちの子どもが「やってみたい!」というと、演奏のコツを教えてくれて、2人のセッションがはじまりました。まわりのお客さんはリズムを刻んで楽しんでいましたが、演奏が終わるとゆっくり散り散りに、自分の世界に入っていくのでした。
そのまたある時は、うちの子どもが自作のカードゲームを持参し、大岸さんに勝負を挑みました。居合わせたお客様も参加して、トーナメント戦が開催されました。負けた大人たちは各々言い訳を並べますが、子どもの耳には届かないようで・・・。
店での出会いのエピソードはまだまだあるのですが、この辺で。

「絵本」は、短時間で読むことができ、それでいて、ぐっと引き込まれる研ぎ澄まされた構成や文章で物語の世界に浸ることができます。大人になったからこそ、作者の思いや細部のこだわりに気づかされることもあります。「絵本」には、いとも簡単に読者の心に入ってくる不思議な力が備わっているのだと思います。日々の生活から離れて、短い時間でエネルギーをチャージしたり、時にはリラックスして気持ちを切り替えたりできる装置。子どもだけでなく、大人にこそ「絵本」が必要なのではないか、と思います。

『WILD CAT BOOKS』では、比較的状態のいい中古の絵本を多く取り扱っています。ほかの「絵本」を扱っている本屋と何が違うのか?と言われれば、店に並んだ「絵本」はかつての誰かのお気に入りだったかもしれないもの。それを大岸さんが私たちに橋渡しをしてくれたものです。
何十年も本にかかわってきた大岸さんの目線で選ばれた「絵本」たちに出会える『WILD CAT BOOKS』は、誰かの家へ遊びに行って、どんな本を読んでいるのかなあと、知り合いの本棚を眺めるような楽しさがある店なのです。
子どものころに読んだけれど、どうしてもタイトルを思い出せなかったあの本に、不意に出会えることもあります。また、普段自分が選ばないような本に惹かれたり、読んでみたかった絵本を見つけたり。そして、安価な分、物語に関係なく表紙の絵で“ジャケット買い”をする冒険もできちゃいます。

岩倉市を訪れた際は、『WILD CAT BOOKS』で「絵本」とのときめく出会いを体験してみてはいかがでしょうか。

WILD CAT BOOKS。「古本屋」の、のれんが目印。

WILD CAT BOOKS (ワイルドキャットブックス)
OPEN 11:00〜19:00
住 所:岩倉市大地郷内1217
電 話:0587-84-2487
定休日:月~水曜 ※臨時休業のおしらせはお店のInstagramで告知
Instagram  / WILDCATBOOKS (@wildcatbooks_oldbook)

この記事を書いた人
木村さや香

NPO法人いわくら観光振興会
人事教育長/イベント企画制作
1986年生まれ。岩倉市在住。1児の母。岩倉市PR大使い~わくんのアテンド"鯉のぼり恋子 "としても活動。「観光資源は自分たちでつくることができる」をコンセプトに、市内の農家や商店、消費者をつなぐ企画を提案している。

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